企業活動している法人企業の全てに社会保険加入義務がありますが、加入していない法人が全て「加入逃れ」ということではありません。休眠会社も存在するためです。そのため、これまで加入すべきなのに加入を怠っている「加入逃れ」企業の全貌を行政が把握できていなかった、といいます。言い訳のようにも聞こえます。そもそも国税データを活用すれば相当なことが、これまでも掌握、指導できていたはずですから。なのに、なぜ今になってこのようなことに踏み切るのでしょうか…。それは、就労人口減少下(加入者減)にあって制度を維持するためには年金加入者を増やすことが必要不可欠だからです。遅ればせの厚生年金生き残り策という色彩が濃厚ではないでしょうか-。 厚生年金の「加入逃れ」を防ぐ(見つけ出す)ため、厚生労働省は、国税庁の徴収データを使って未加入の会社を割り出し、指導を強化することにしました。
「加入逃れ」が判明する見込み対象事業所は数十万社に上るとみられ、今春にも着手するといいます。 事業所が厚生年金に加入しますと事業主は当然ですが、そこで働くフルタイムの従業員や1日6時間程度以上の時間働くパート従業員が強制加入対象となります。 厚労省が公表した2013年度未時点の数字では、厚生年金に加入する会社は、全国に約180万社(個人事業所含む)あります。
加入逃れがどのくらいあるかは現時点で正確に把握できていません。法人登記されている約449万社のうち、倒産や休眠状態の場合は対象外ですので、正攻法では割り出し作業は簡単ではありません。そこで国税庁から、所得税を源泉徴収している会社の確実なデータの提供をうけることにしたということです。 (提供を受けるデータ内容は、事業所名、所在地、給与支給人数、業種)
税金を納めている事業所は、実際に企業活動をしているはずですから、観念せざるをえないというわけです。
(朝日新聞2014年7月23日付けを基に、厚生労働省担当者に確認のうえ、加筆、編集して掲載しております)
広島の社会保険労務士、社労士 西田事務所
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