養育期間標準報酬月額特例制度の適用漏れを防ぎましょう


 
 
これは本年4月から始まった制度ですが、地元の社会保険事務所に問い合わせてみます
と、既にスタートして数ヶ月経過しているのに対応が遅れている感が強くいたします。

制度の概要は、3歳未満の子を養育している期間、子供の出生の前月の標準報酬月額を
基準として1等級でも下がった場合、年金額の計算については子が生まれる直前の標
準報酬月額(従前標準報酬月額)で計算するという制度です。(保険料には影響しない)


育児休業を取らない場合であっても、標準報酬が下がればこの制度の対象にはなるので
す。

 
対象は、3歳未満の子がいる社員です

  • 子育てを妻にまかせきりではいけないから、意識的に残業をしないようにしているので残業代が少なくなったため定時決定により等級が低下した
  • 引越しによって通勤定期代が下がった
  • 管理職になった関係で残業代がでなくなり、結果的に給与が下がった
  • 転勤により手当が無くなり給与が下がった
  • 妻が働くことになり配偶者手当がなくなり給与が下がった
  • 転職後、給料が下がった。

 

どのような理由であれ、子供の出生月の前月の標準報酬月額を基準として、それよりも1等級でも下がった場合、年金計算上は、下がる前の報酬を採用するというものです。

 実際には子育てとは無縁の理由により標準報酬月額が下がる場合もありますが、そう
いう場合でも、対象になるというから面白い。
該当する場合、申出により、適用されるのですが申し出しないと適用してもらえません。
 
この制度は、専業主婦の妻がいる場合の夫にも適用されるわけですし、また共働き
の場合に、夫婦そろって適用されるということもありますので、
「わが社では育児休業をする従業員がいないから関係ない」と思っている社長さんや
労務担当者が、いらっしゃれば、それは違いますと申し上げます。
そういう場合であっても、この制度については該当者がいるかもしれません。

本人が自分の責任で申し出することになっているのなら会社は関係ないんじゃないの?
確かに本人の申し出という形態にはなっていますが、在職者についてはたしてそれでい
いのでしょうか。
本人が申し出を行いうるよう事業主として、すべきことがあるんじゃないでしょうか。
標準報酬月額を変更の都度、適切に従業員に通知し、またこの制度について周知して
いますか。
そこらへんを不十分にしたままで、本人の申し出だから、ということで放っておいて、
将来、恨まれたり、損害賠償を請求されないためにも、確実、適切な実務が求められ
ます。

 

 

 

 

広島の社会保険労務士、社労士、行政書士 西田事務所   ホーム