2.年休の計画的付与制度
計画的付与(労基法39条6項)は、
①年休のうち5日を超える部分が対象となります。年休の繰り越しがある場合は、繰り越し日数も含めて5日を超える部分が対象となるとされています。
②計画的付与実施するには、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合あるいは労働者の過半数を代表する者との書面による協定(以下、労使協定)で、年休を与える時季に関して定めておくことが必要となります。
③労使協定により計画的付与することとされた年休については、「労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権はともに行使できない」(昭63.3.14 基発150)とされています。変更する可能性が考えられる場合は、労使協定の中に変更する場合の方法を定めておく必要があります。
入社時の付与日数が5日であり、計画年休の対象となる5日を超える部分がない場合は計画年休に充てることはできません(平6.5.31基発330)。。
3.一斉付与方式の場合3.一斉付与方式の場合
年休の計画的付与の方式として
①事業場全体の休業による一斉付与方式、
②グループ別(所属部門別)の交替制付与方式、
③個人別付与方式などがあります。
一斉付与方式の場合、計画年休に充てることができる年休のない労働者も含めて実施する場合には、年休の日数を増やす、特別の有給休暇を与えるなどの措置が必要となります。そのような措置をとらずに年休の権利のない労働者を休業させるのであれば、事業主の都合による休業となり、その労働者には労基法26条の規定による平均賃金の6割以上の休業手当を支払うことが必要となります(昭63.3.14 基発150)。②のグループ別(あるいは所属部門別)交替制付与方式の場合も、同様の問題が生じることが生じます。