以前、従業員を解雇できないような社会保険労務士は社会保険労務士とは言えない、と言っていた同業者がいました。
それを聞いたとき、小生は悲しくなったことを思い出します。
積極的に解雇に手を貸します、引き受けますと言っているようなものです。
解雇せざるを得ない状況に直面することはままありますが、それでも社会保険労務士として、他に方法はないか、まず考えます。
結局、解雇せざるを得ない場合でも、「従業員を解雇できないような社会保険労務士は社会保険労務士とは言えない」などという思いあがったような言葉はとても口にすることはできません。
先日、社会保険労務士の悲しい出来事がニュースとして世間を騒がせました。
愛知県内のベテラン社会保険労務士が「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」と題した文章をブログに載せたのです。
問題の文章が載ったのは11月下旬のようです。
「すご腕社労士の首切りブログ モンスター社員解雇のノウハウをご紹介!!」と題した連載の40回目で、上司に逆らったり遅刻したりする社員を「うつ病にして会社から追放したいのだが」という質問に答える形での書き込みといいます。
「失敗や他人へ迷惑をかけたと思っていること」などを社員に繰り返しノートに書かせるよう勧めるそうで、後悔の量が多いほど「うつ状態(うつ病の前段階)に陥りやすい」と言い、うつ病が昂じて社員が自殺した場合どうするかのアドバイスもあったそうです。
社会保険労務士は事業所の顧問である場合、事業主様から報酬を受けて業務を行っています。
その限りでは顧客は事業主です。
しかし、事業主の依頼を受けて行う仕事の多くは、従業員の利益に結びついています。一度も顔を見たこともない従業員やその家族ために仕事をすることもしばしばですが、その人たちの顔を想像しながら仕事をすれば仕事もはかどります。ひいては、事業主と従業員の強い信頼関係を作ることにもなります。
幸いなことに小生の関与先事業主様の多くは苦しい中でも解雇どころかいかに雇用を維持するかをまじめに考えておられます。
小生はそういう事業主様のお役に立ちたく日々、業務にいそしんでおります。
社会保険労務士の信用を傷つけるような不心得社会保険労務士は二度とあらわれないでいただきたい。