Q 当社には、10年以上前から1年契約を更新しているパート社員がいます。採用後、五年を超えると期間の定めのない契約へ転換することが義務づけられたと聞きましたが、本当ですか。
お答えします
労働者としては毎年、契約更新があるのは、更新されるかどうかという不安がつきまといます。その不安解消のため、有期労働契約が一定期間(5年)を超えて反復更新された場合に、有期契約労働者の申込によって、有期契約を無期契約に転換させる制度が創設されました。(労働契約法18条)
無期契約への転換が認められるためには
1. 2013年4月1日以降に開始した有期労働契約であってその後の通算契約期間が五年を超える場合、その5年を超えた契約期間の末日までの間に、労働者は、使用者に対して無期転換の申し込みをすることができます。
2013年3月31日以前に開始した有期労働契約は通算契約期間には含まれないので注意が必要です。
2. 労働者から無期転換の申し込みをすると、使用者は判断の余地なくその申し込みを承諾したものとみなされ、その時点で無期労働契約が成立します。ただし、実際に無期契約に転換されるのは、申し込み時の有期労働契約が終了する日の翌日からです。
3.無期転換後の労働条件は
無期労働契約の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は、就業規則や個々の労働契約などによる定めのない限り、直前の有期労働契約と同一になりますが正社員になるわけではありません。
無期転換申込後の使用者からの労働契約終了の意思表示は解雇となるのでご注意ください。
労働者から無期転換の申込がなされると、有期労働契約終了日の翌日からの無期労働契約が成立するので、有期労働契約終了時点で使用者が労働契約を終了させようとする場合は、雇止めではなく、解雇となります。
4.無期転換申込権の放棄は無効
使用者からの求めに応じ、有期契約労働者が、無期転換申込権を発生前に放棄するということがあったとしても、そのような意思表示は公序良俗(民法九十条)に違反して無効と考えられています。
5.空白期間(クーリング)とは
有期契約労働者が、無期転換の申込みをするためには、有期労働契約の通算契約期間が五年を超える必要があります。有期労働契約とその次の有期労働契約との間に、契約がない期間が六ヶ月以上あるときは、その空白期間より前の有期労働契約は通算契約期間には含まれません。これをクーリングといいます(労働契約法一九条二項)。
労働契約法(抜粋)
広島の社会保険労務士 西田事務所